なぜ教育論争は不毛なのか―学力論争を超えて (中公新書ラクレ88)
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社会変化を踏まえた教育方針の必要性
「ゆくえ」,「危機」,「幻想」,そして「不毛」
教育問題は教育のみの問題にあらず
教育社会学者・苅谷剛彦の「思想」
発売日:2003-05-10
ランキング:72553位

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「なぜ教育論争は不毛なのか―学力論争を超えて (中公新書ラクレ88)」のレビュー・感想


【社会変化を踏まえた教育方針の必要性】
社会変化を踏まえた適切な制度設計というのは、いつの世であっても容易とはいえないだろうが、

「社会の成熟化→ゆとり教育」という方向性は、成熟化のもたらす負の側面(世の進むべきベクトル設定の困難さ、人々による社会格差・差異への鋭敏性向上etc.)という部分を楽観視していたがゆえの方向性設定であったように感じる。
その点をしっかり突いている本書は良書と感じる。

※教育制度の設計にも”性悪説的”思想が一定程度必要かと・・・。


ただ残念な部分が1点・・・。
...

【「ゆくえ」,「危機」,「幻想」,そして「不毛」】
 経年的に題名だけを追っていくと彼の教育に対する姿勢の変遷が分かる。つまり,教育の「ゆくえ」,「危機」,「幻想」ときて,本書の「不毛」。この「ゆくえ」はひらがなで書いてはいるが,“迷走”と読むべきだろうから,苅谷は現代日本教育の「ゆくえ」(迷走)を憂慮し,「危機」を言いたて,ついにその改革が「幻想」だと見抜き,改革論議が「不毛」と言い放ったと言える。起承転結(!?) 本書は,第1部の一部「もう学力論争は終わった」(中井浩一との対談)と終章(書き下ろし)以外は全て,『毎日新聞』『読売新聞』『論座...

【教育問題は教育のみの問題にあらず】
これまで短絡的につなげられてきた教育議論の矛盾を指摘、整理し、
かつ、これまで見落とされてきた新たな「問題同士の関係性」を端的に解説している。

平等社会ではなく、「よりましな不平等社会」へ。
「生きる力」に代表される一律の新しい学力観は、子どものそもそもの知的水準の差を考慮に入れていない。
さらにその結果、社会の雇用システムの現状と比較して、「自己実現アノミー」が生じている。
学校ではぐくまれる「個性」は、学校が持つ「隠れたカリキュラム」に準拠するものを逸脱し...

【教育社会学者・苅谷剛彦の「思想」】
一般に、苅谷氏は「学力論争」の一論客として著名になりました。
そこで苅谷氏は、データを用い、「新学力」の問題性を、
主として階層差拡大の点から突いていました。
本書は、そのような苅谷氏の主張を改めて読むことができると同時に、
「学力問題」以外の「教育問題」に関する氏の主張や
各種メディアに登場する氏の舞台裏、
そして、氏の学者としての姿勢を知ることのできる本です。
私は、その苅谷氏の「姿勢」に興味をもちました。
目標と手段の設定、実施、評価、目標の修正……。
一般には当たり前のこ...